「当たるも八卦、当たらぬも八卦」

 「八卦」とは占いのこと、当っても当らなくても、それが占いというものであり、外れても気にするな、という意味合いで使われる。
 易占いは、世界でもっとも古い占いのひとつで、少なくとも3000年以上前の古代中国で生まれた占いであるが、そもそもは「易経」に由来し、古代中国の伝説上の人物、伏犠(ふくぎ)が編みだし、孔子(こうし)が完成させたといわれている。
 「占い」を、信憑性を遠く離れた予見ではなく、ある意味科学的に行おうとするのが「易占い」であり、この「占い」の知恵を体系化し、宇宙観まで昇華させたのが「易経」である。その根本は太極で「陽」と「陰」であり、その上に八卦(乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤)が展開されていく。
 「易経」は、この八卦と八卦を組み合わせた六十四卦(六十四種類の卦)について、述べられた書物であり、六十四種類の卦は、一つひとつが人生における場面設定のようなものである。六十四の場面ごとに、決まった起承転結の流れがあって、各段階には必ず前兆があり、その前兆を察知できれば、適切に変化へ対応できるということを、たとえ話で表現している。
 「時」は「陰と陽」の働きによって絶えず変化している、というのが『易経』の根本的な考え方で、「易の三義(変異、不易、易簡)」という。「変易」は、変化という意味で、この世のすべての物事、人も物も自然も、一瞬たりとも同じ時はなく、常に変化し続けている、ということ。
 「不易」は、変わらないという意味。すべての物事は変化するが、その変化の仕方には一定の「不変の法則」がある。たとえば、季節は移り変っていくが、冬が過ぎれば必ず春が来る、春が過ぎれば、夏が来て、秋が来て、また冬が来る。この四季の循環は変わらない。
 「易簡」は、やさしくて簡単という意味。「変易」「不易」の法則が理解できれば、何事も簡単にわかるようになり、悩みや問題も解決しやすくなる、ということ表している。
 そもそも社会は「陽」と「陰」でできており、絶対的自然律があり、そのことを理解し、それにそって、変化する状況に対応していけばよい、ということのようである。

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