「曼荼羅チャート」

  曼荼羅はもともとサンスクリット語の「マンダラ」の音訳で、マンダラは中心・心髄を意味する「マンダ」と所有を意味する「ラ」の合成語である。つまり「大宇宙の本質的なものを諸仏の配置によって表現し、感覚的・現象的に把握できるようにしたもの」といえる。特に密教においては、経典や注釈書だけでは密教を理解することは難しく、曼荼羅が非常に重要視される。

  マンダラ・チャートとは、曼荼羅模様のようなマス目を作り、そのマス目一つ一つにアイデアを書き込むことで、アイデアの整理や拡大などを図り、思考を深めるものである。   

  現在MLBロサンジェルス・エンエルスで、投手と打者の二刀流で活躍している大谷翔平選手は、花巻東高校時代にマンダラ・チャートを使って今後どうなりたいかといった夢に対する思考を整理し、実行していったそうだ。花巻東高の佐々木洋監督の指導で、高校1年生の時につくったマンダラ・チャートがある。真ん中に「ドラ18球団」と記し、その実現のための8つの要素が「体つくり」・「コントロール」・「キレ」・「スピード160km」・「変化球」・「メンタル」・「人間性」・「運」である。そして、それぞれの要素を細分化して、具体的な行動を8つずつ書いている。計64の目標達成のための行動である。

  高校1年生が、よくここまで思考を深め具体的な行動レベルまで落とせたことに感心する。さらに、フィジカル面、メンタル面と一般に表現するが、彼の場合は「人間性」や「運」ということを明記していることに驚かされる。この精神面の特性が、大谷の大きな成長理由にあがられる。

 この大谷翔平のマンダラ・チャートを見ていると、現在の彼の野球選手としての結果や、彼の振る舞いが、よく理解できる。彼に、心からの敬意を抱かずにはおれない。

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