過去30年と今後40年の日米中のGDPの推移をみると愕然とする。“どうする日本!” 1990年頃、アメリカは日本の2倍、中国は日本の半分であった。2000年頃に、中国は日本とほぼ同じになり、それから20年経ったいま、中国のGDPは日本の数倍になった。40年後の2060年をみてみよう。アメリカはいまの2倍ほどの規模になっているだろうが、中国は驚異的な発展をとげ、想像を絶する世界が出現していると思われる。しかし日本は、この40年間でわずか7.2%しか成長しない。つまり日本は、過去30年間GDPは約5,000億ドルで殆ど増えておらず、さらにこれからの40年も、さしたる増加は見込めない。
2022年に公表されたIMFの世界経済見通しによると、一人当たりGDPは台湾が3万5513ドルとなり、日本の3万4347ドルを越えた。韓国は、すでに日本を抜いており、円安の影響もあるが日本は韓国・台湾より低位にある。因みにアメリカは7万5179ドルである。2012年には、日本の一人当たりGDPはアメリカと同程度であり、韓国の約2倍だった。この10年間できわめて大きな変化が起きた言える。
その国の「国力」を決めるのは、①武力(戦力) ②経済力 ③戦略 である。そしてそれを支えるのが「人材」である。イギルスの高等教育評価機関Quacquarelli Symondsが世界大学ランキングを発表した。総合順位でみると、世界のトップ100位以内に入った日本の大学は5校(23位東京大学、36位京都大学、55位東京工業大学、68位大阪大学、79位東北大学)。アメリカは27校、韓国が6校、中国は12校である。「コンピュータサイエンスおよび情報システム」でみると、日本の大学は100位以内に2校(45位東京大学、100位東京工業大学)しか入っていない。アメリカは30校、韓国は5校、中国は6校である。これからの産業を推進していく上で前提となる科学技術や情報技術、それを行う大学教育において日本はかなり立ち遅れている。
我が国を取り巻く、安全保障環境は極めて厳しい。その中で、「武力(戦力)」をいかに整えるかは急務であり、その前に防衛に対する基本的な考え方と長期的な戦略が必要である。日本がこれまで「経済大国」と言われてきたのは経済規模が大きかったかれである。しかし、今後40年を考えると中国やアメリカに規模では遠く及ばない。日本は規模ではない、別の何かを見出さない限り、世界の中で生き延びられない・・・。
「武力」、「経済力」、「戦略」・・・。さあ、“どうする日本!”
ラーニング・システムズ
高原コンサルティングオフィス
高原 要次