「神の米」

 稲刈りを終えた田圃に、彼岸花(曼殊沙華)が赤い花を咲かせています。こうして収穫後の我が家の田圃を眺めるのは、実に良いものです。
 昨年まで、“この米は、私が作っているのではありません、これは大地と太陽が作っているのです。私はただ、水を管理したり、肥料を施したり、草を取ったりしただけです”と申しておりました。今年、私少し進化しました。
 師事している田口佳史氏(東洋思想の大家)の講義で次のような話がありました。東南アジアの留学生から、“日本の田圃は、どうしてこんなに美しいのですか?私の国でもコメを作っていますが、適当に植えていてもそれなりに収穫できますし、これほど田圃を綺麗にする必要はないのじゃないですか?”と質問を受けたそうです。これに対する田口先生の答えは“古代より日本では、米つくりは神さまと共に行っているのです。従って、田圃には「田の神さま」、社には「お稲荷さま」が祀ってある。神さまは、綺麗な所にしか降りてこないのです。だから、田圃を綺麗にして心を込めて作るのです”、と。
 仲屋敷という集落の我が家の敷地にも“お稲荷さま”が祀ってあります。田口先生の話を聞いて以来、より美しい田圃にするために早朝から田圃を廻り、水の具合を見、草取り・草刈りをしました。大雨や台風、猛暑、そして猪の侵入もありましたが、神さまを感じながらコメ作りに励みました。そして、先日稲刈りを終えました。
 この新米、まずは神さま(お稲荷さま)と仏様にお供えし、今食しています。実に美味しい、力が漲ります。この米、称して“神の米、なかやしき米
 今年、私も少し進化したように思います。

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高原コンサルティングオフィス

高原 要次