2011年3月11日起きた東日本大震災、その復旧支援に日本政府の要請を受けてアメリカ海軍・海兵隊・空軍が連携し、2万4000人の将兵、190機の航空機、24隻の艦艇が参加した。ヘリコプターを駆使して食料、水などの救援物資を被災地に送り届けたり、救助活動を行ったりといった活動により、連絡路が分断され被災地で孤立した罹災者を支援した。また、被害を受けた仙台空港等インフラの復旧を短期間でやり遂げた。この米軍の連携した支援作戦は「トモダチ作戦(Operation
Tomodachi)」と言われ、まさに被災した多くの方々を救い、心から感謝された。
米韓合同演習のために西太平洋を航行中であった空母「ロナルド・レーガン」は、急遽行先を変更、福島沖から被災地に救援物資を運ぶ活動に従事することになった。しかし、兵士たちは、津波がメルトダウンを引き起こしたことや太平洋に放射能ブルーム(雲)が広がっていることは知らされていなかった。また、原発事故後最初の1週間は、放射能防護の無い状態で、船上で活動した者もいた。
帰国後しばらくして、救援活動にあたった兵士の中に、癌を発症したり、甲状腺を患ったり、白血病で亡くなった者がでた。患者は次々に増えて400名に達しているという。このことを日本政府もアメリカ政府も公にはせず、両国のメディアも報道しない。
健康被害にあった「ロナルド・レーガン」元乗組員8名が「放射性物質の危険性が正しく伝えられずに救援活動を続けた結果、被曝することになった」として東京電力などに損害賠償を求めて、サンディエゴの連邦地裁に提訴した。しかし、アメリカ議会の要請に応じて提出された国防総省のレポートには、健康被害と放射能の因果関係は断定できなかったとしている。
元総理の小泉純一郎氏は、総理時代は原発に賛成し、推進していた。しかし、現在は原発に反対している。この小泉氏が、「ともだち作戦」と「レーガン訴訟」の話を聞き、「日本人として見て見ぬふりはできない。自分が訪米することで日本国民に実態を知ってもらえれば」と訪米を決意し、3日間で10名の元乗組員たちとの面会を行った。
面会終了後に記者会見で「日本のために、救援活動に全力を尽くしてくれた米国の兵士たちが重い病に苦しんでいる。見過ごすことはできない!」と訴え、支援の必要性を強調した。
政府に直接かけあったが、動こうとしない。そこで小泉氏は「トモダチ支援基金」を立ち上げた。「トモダチ作戦」で救援活動に関わり、帰国後重い病気で苦しんでいる元兵士に見舞金を届けようと。
日本政府が動けないのであれば、日本人として動こう、と。そして、多くの日本人が動き1億円を見舞金として送った。
ラーニング・システムズ
高原コンサルティングオフィス
高原 要次