ある流行歌を聴くたびに、何とも納得しがたい妙な気分になる歌がある。それは、狩人が歌う「あずさ2号」である。恋人と別れ、東京から列車に乗って信濃路に向かうヒロインの心情を歌った曲であり、歌詞は“8時ちょうどの「あずさ2号」で、わたしはわたしはあなたから、旅立つのです”と、なっている。
おかしいでしょう、変でしょう!特急列車のナンバーは、下りが奇数、上りが偶数なのに・・・。新宿8:00発で信濃路へ向かうのは下り列車だから、号数は奇数のはず。「あずさ2号」ではなく「あずさ3号」でなければならない!日本国中、この曲を聴いた人は疑問に思わないのか!
ものごとには、原理原則がある。あるルールに基づいて決められている。新幹線の駅名で“新”がついている駅とついていない駅があるが、在来線と新幹線が同じ構内であれば“新”がつかず同じ名前、場所が異なる場合は“新”をつけて別の駅になっている。在来線、新幹線どちらも特急列車の号数は、下りが奇数、上りが偶数なのである。ルールを違えてはいけない。
ところが、ところが、狩人の「あずさ2号」が発売された1977年には、新宿駅を8:00に発車する列車は「あずさ2号」だったのである。当時国鉄の在来線愛称列車の号数は上り・下り列車それぞれに1号から付番されており、8時ちょうどの下り列車は「あずさ2号」だったのである。
号数の付番が、下りが奇数、上りが偶数と決められたのは、翌1978年10月2日のダイヤ改正時だったのです。
ルールというのは、変わるのですね・・・。まいった、まいった。
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