2018年9月 “暑い夏と白い百合”

 大雨と酷暑、そして台風が多く発生したこの夏。大雨による土砂災害はひどく、農家もまた大打撃を受けた所が多かったようで、とてもお気の毒です。さらに今年は、気温が40度を超える所が何箇所もあり、熱中症の患者数が例年より大幅に増えたのは脅威です。

  7月は我が家の野菜も初旬の大雨に見舞われ、腐ってくる野菜がありました。それまではズッキーニ、キュウリ、黄色や赤色のミニトマトは食べきれないほどの収穫に、孫も大喜びでした。その後は猛暑で水切れ状態になり枯れるかと思いましたが、充分な水を与えていくと、嬉しいことに作物は息を吹き返していきました。現在は他の野菜も加わり、オクラ、ナス、ゴーヤ、カボチャが生り放題です。

 8月はとっても楽しみにしていることがあります。私の誕生日にかけて、家の庭にはたくさんの白百合が咲くのです。あわせて百合の花の数もピークになります。春はまだ葉っぱしか付けてなかったのに、だんだん背丈が伸び、蕾をつけ、一本が咲きだすと次々に家が百合に囲まれていきます。これは主人の私へのプレゼントです。花をたくさん咲かせるために朝晩かかさず水遣りをしていました。

  誰が植えたわけでもないのに、白っぽい百合が咲くという話をご近所からも聞きます。これはどうも「タカサゴユリ(高砂百合)のようです。台湾に広く野生するゆりで、日本へ種子が入ったのが大正12年。旺盛な繁殖力のために、今では西日本を中心に広く野生化しているそうです。そうなんです、種子で繁殖するので、晩秋になると種子が放出され、風で飛ばされ、運ばれるのです。一般的に球根植物は乾燥に強いけど、この種のものは乾燥に弱いそうです。

  夏から秋にかけて、雨や猛暑、そして台風が日本の広範囲にわたり被害をもたらします。それでも農作物を消費者に届ける為に、農家の多くの方が励んでらっしゃいます。その姿が「凄いな!素晴らしいな!」という感謝の気持ちを沸かせます。私も野菜の収穫や、主人が咲かせてくれる白百合を想像すると、来年の夏がまた楽しみです。

                                                              (原口佳子)