2016年12月 “大事な存在”

 25年くらい前の事でした。美容室の椅子に座り、いつものように週刊誌をパラパラとめくっていくと、「ガン闘病と向きあって走る!」と云うような記事がありました。大きく取り上げられている記事でしたので、興味深く読んでいました。すると、その中のガン患者の男性が、なんと私の親友のご主人だと気づいたのです!衝撃的でした! 結婚後 東京で暮らしていた彼女とは、本当にご無沙汰していましたので、週刊誌を媒介に連絡を取る事になるとは夢にも思わない事実でした。心配で会いに行ったりしましたが、数年後に、まだ小さい愛娘と奥さん(私の親友)を残して逝ってしまいました。

  ご主人を亡くされた後、娘さんを連れて、ご実家の近くに引っ越して行きました。その後何回が会ったりしたのですが、いつの間にかまたハガキだけのやり取りになっていました。

 その彼女に、どうしても学生時代のサークル仲間に会わせたい催し物があったので、直接電話をかけてみました。すると「実は、昨日退院してきたばかりなのよ。脳脊髄液減少症という病気に罹ってしまい、トイレとシャワー以外は横になっていないといけないの。」と言うのです!

 体調を取り戻した彼女とやっと会えたのは、発症してから2年ほど経った頃です。昔と変わらない、目のぱっちりとした魅力的な彼女は、自分の歳を忘れるほど昔のままでした。明るい表情で、ウオーキングや山登りを再開したと話してくれました。病気だと聞いた時はとても心配で、手紙やメールで、仲間の情報を時々届けさせてもらいました。再会した時は、とても感激しました。

  彼女とは中学校からの同窓生ですが、親しくなったのは大学を卒業する頃からです。彼女の家は、大学の門の目の前にありました。お昼になると、もう一人の友だちと家にお邪魔して、一緒にお弁当を食べたり、料理したり、音楽を聴いたり・・・。ご両親もよく可愛がってくださいました。ビートルズの楽曲もたくさん知り、少しだけファンになったのも彼女の影響です。学部は違いましたが、サークルが一緒だったのと、同じ習い事を始めたり、同じバイト先で働いたりして、4年間を仲良し三人組で謳歌しました。

  親友がたくさんいてくださることは幸せです。色々な事情でいつでも会う事は出来ませんが、前向きの彼女に会うと、元気を貰えます。心の支えになる、いつまでも大事な存在です。

 今月は、学生時代の仲間たちとの会合に彼女を誘って、久しぶりに旧交を温めます。とても楽しみです。

                                                              (原口佳子)