人間が成長する時、“言葉”は必ずついて来ます。産まれる前、母親のお腹の中でもう始まっているのではないでしょうか。そして大きくなるにつれことばを覚え、会話がコミュニケーションの手段となっていきますよね。
私はこの言葉という単語より、“ことば”を使ったあらゆる語りかけが大事だと日ごろから感じています。先日、学生時代からの親友から手紙が来ました。「お互いに今の生活を大事にして会えるようになったらゆっくり会いましょう」と。結婚してからは家庭の事情等でもう20年も会っていないのですが、お互いにあなたの事は大事なんだよ!と言う気持ちは伝わります。
また、毎日忙しそうにしているとき、別の親友から「一生懸命やっているのだから、たいへんな状態になったら皆がちゃんと助けてくれるよ。心配しなくていいよ」という電話をもらいました。
人との会話で得られたものもたくさんです。「一生懸命やって自分に還って来なくてもいずれ自分以外の子どもとか、周りの人に還ってくるものよ!」、「幸せか不幸かは自分が感じるものです」、「一緒に楽しもうね!」、「有難う」 ・・・・・
ところで文学療法をご存知でしょうか?
名作と呼ばれる文学作品に触れることにより、心の深いところに根ざす尊い人間性を甦らせる一つの手法だそうです。優れた詩や物語は-登場人物の苦しみや成長から読者が自己を振り返り人生の意味を知って生き生きと歩むことができる-そういう力があるようです。コミュニケーションをとるのに会話が苦手な人はこのような文学作品に触れるのも良い様です。
同じ内容でも使われる言葉が違うとなぜか受け取る側は幸せになれます。ことばひとつで人間関係が良くも悪くもなりがちです。日頃の生活の中で上手な言い回しは出来なくても、これまで学んだ沢山の人の温かい言葉を、今度は私が日常の会話でも発信できる人になりたいと思っています。 (原口 佳子)