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「認知能力と非認知能力」

2019年6月1日 土曜日

 田口佳史氏(東洋思想研究家)曰く、“江戸期の教育は、人間性を高めるための教育。現在の日本の教育は、試験に通るための教育”である、と。また近年、“人間力”という言葉が声高に叫ばれているが、結局いい中学に、いい高校に、いい大学に入るための“学力をつける”ことを目的として学校教育が行われている。それで、いい仕事ができるための素地が養われるのか?それで、いい人生を送るためのベーズができるのか?
 能力には二つある。「テストの結果」や「IQ(知能指数)」などの数値で表せる能力が「認知能力」であり、教科書では養われない「くじけない心」や「想像する力」、「コミュニケーション力」、「問題を見つけ、解決する力」、「やりぬく力」、「我慢する力」、「自己肯定能力」など、数値で測れない能力が「非認知能力」である。この二つの能力のうち、人間性を高め、よい仕事をして社会に貢献し、幸福に近づくための能力は、「非認知能力」である。
 では、この「非認知能力」を身に付けるためには、何が重要であろうか。それは3つ。

1. 好きなこと興味があることをやり、持続すること(本人)
2. 一人称で語り他人を尊重し、一緒に事をなすこと(本人)
3. 周囲が、その環境をつくってあげること(親)

 “お勉強”をさせ、憶えさせるのではなく、“学習”して自らの考えを持てるよう
にし、行動して知恵を付けさせる。その過程で、社会性や人間力を身に付ける。
 「非認知能力」がある者でなければ、仕事は任せられない、この国は任せられない。
偏差値教育の弊害が叫ばれている。しかし、“お受験”で有名幼稚園や有名小学校に子供を入学させる親は、ますます増えている。いかがなものか・・・。

ラーニング・システムズ
高原コンサルティングオフィス
高原 要次

「幸せの方程式・・・」

2019年5月1日 水曜日

 今、救急病院に入院中である。昨年も、腰の手術で1か月入院した。ベッドに横たわりながら“60余年の私の人生、そこそこ「いい人生」だったなあ・・・。まあ「幸福」な人生だったなあ・・・”と思った。一体私は、何をもって“いい人生”だった、“幸福”だったと感じたのだろうか?60余年間を冷静に分析して「いい人生」と判断したわけではない、むしろ今がある程度満足な状態にあるから、過去の60余年を一括して「いい人生」と感じているように思う。大成功した訳ではない、大金持ちでもない、たいした地位でもない、しかし満足である。
 「幸せのメカニズム(前野隆司著)」という本がある。サブタイトルは“幸せはコントロールできる 脳・ロボット学者が解き明かす、そのしくみ”となっている。前野氏いわく、日本の実質GDP(一人当り)は、この50年でざっと6倍になっているが、生活満足度は横ばいである。経済的に豊かになっても幸福になったとは言えない。また、地位財(所得・社会的地位・物的財)は、周囲との比較により満足を得るものであり、長続きしない。一方、非地位財(健康・自主性・帰属意識・自由・愛情)は他人との相対比較ではなく幸せが得られるものであり、長続きする。と。
 では何が「幸福」をもたらすのか?1500人のアンケートの心的要因分析の結果4つの因子が明らかになったとのこと

第一因子:やってみよう因子(自己実現と成長)
・コンピテンス(私は有能である)
・社会の要請(私は社会の要請に応えている)
・個人的成長(私のこれまでの人生は、変化・学習・成長に満ちていた)
・自己実現(今の自分は「本当になりたかった自分」である)

第二因子:ありがとう因子(つながりと感謝)
・人を喜ばせる(人の喜ぶ顔がみたい)
・愛情(私を大切に思ってくれる人たちがいる)
・感謝(私は、人生において感謝することがたくさんある)
・親切(私は日々の生活において、他者に親切にし、手助けしたい)

第三因子:なんとかなる因子(前向きと楽観)
・楽観性(私は、ものごとが思い通りにいくと思う)
・気持ちの切り替え(私は、失敗や不安な感情をあまり引きずらない)
・積極的な他者関係(私は他者との親しい関係を維持することができる)
・自己受容(自分は人生で多くのことを達成した)

第四因子:あなたらしく因子(独立とマイペーズ)
・社会的比較志向のなさ(私は、自分と他人をあまり比較しない)
・制約知覚のなさ(私に何ができ何ができないかは外部のせいではない)
・自己概念の明確傾向(自分自身についての信念はあまり変化しない)
・最大効果の追求(満喫する態度をとる)

 この4つの因子すべの点数が高いグループ(20%)は「幸福度が高い」、すべてが低いグループ(11%)は「幸福度が低い」。
 龍安寺の蹲踞に刻まれた「吾唯知足」と相通じるものがあるが、実践が重要。
幸福になりたければ、「やってみよう!」・「ありがとう!」・「なんとかなる!」・「あなたらしく!」を実践しよう。

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あずさ2号!

2019年4月1日 月曜日

 ある流行歌を聴くたびに、何とも納得しがたい妙な気分になる歌がある。それは、狩人が歌う「あずさ2号」である。恋人と別れ、東京から列車に乗って信濃路に向かうヒロインの心情を歌った曲であり、歌詞は“8時ちょうどの「あずさ2号」で、わたしはわたしはあなたから、旅立つのです”と、なっている。
 おかしいでしょう、変でしょう!特急列車のナンバーは、下りが奇数、上りが偶数なのに・・・。新宿8:00発で信濃路へ向かうのは下り列車だから、号数は奇数のはず。「あずさ2号」ではなく「あずさ3号」でなければならない!日本国中、この曲を聴いた人は疑問に思わないのか!
 ものごとには、原理原則がある。あるルールに基づいて決められている。新幹線の駅名で“新”がついている駅とついていない駅があるが、在来線と新幹線が同じ構内であれば“新”がつかず同じ名前、場所が異なる場合は“新”をつけて別の駅になっている。在来線、新幹線どちらも特急列車の号数は、下りが奇数、上りが偶数なのである。ルールを違えてはいけない。
 ところが、ところが、狩人の「あずさ2号」が発売された1977年には、新宿駅を8:00に発車する列車は「あずさ2号」だったのである。当時国鉄の在来線愛称列車の号数は上り・下り列車それぞれに1号から付番されており、8時ちょうどの下り列車は「あずさ2号」だったのである。
 号数の付番が、下りが奇数、上りが偶数と決められたのは、翌1978年10月2日のダイヤ改正時だったのです。
 ルールというのは、変わるのですね・・・。まいった、まいった。

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今月の視点 12月 「LEARNING SHOT」を更新しました

2018年12月3日 月曜日

こちらからご覧いただけます。 >>詳しくはこちら

2018年12月 「二宮金次郎は、どこにいった・・・」

2018年12月3日 月曜日

 私が小学生の頃は、どこの学校にも校庭の片隅に「二宮金次郎」の銅像(石像)が建っていた。薪を背負、本を読みながら歩く姿は、まさに“向上心”・“勤勉”・“努力”の象徴である。しかし現在、この銅像を有する小学校は皆無と言ってよい。
 二宮尊徳(幼名:金次郎)は、江戸後期の実践的農政家で、幼くして両親を亡くし伯父の家で苦しい農耕をしながら「論語」「大学」「中庸」等を独自に学び、青年期に家を再興。後に小田原藩・相馬藩の凡そ600の村の再興を行い、その後幕府に召し抱えられて普請役格になった。また、農村の生産力に応じて分度を定めて勤勉を説き、その結果として富を譲り合うという「報徳思想」を広めた。
 内村鑑三が英文で書いた外国人向けの人物伝「代表的日本人」に紹介され、また幸田露伴が少年少女のための文学として執筆した「二宮尊徳翁」がその名を広めた。さらに、修身の教科書にも登場し生徒の「模範」として定着した。
 ではなぜ二宮金次郎像が消えているのか。その背景には「児童の教育方針にそぐわない」「子供が働く姿を勧めることはできない」「戦時教育の名残」「歩いて本を読むのは危険」という声があるという。更には“辛抱”や“忍耐”、“向上心”や“出世”、“勤労”や“徳力”に重きを置かない風潮が教育現場にはあるそうだ。
 最近はまた、卒業式で「蛍の光」を歌わない学校が増えているそうだ。その理由も「戦時教育の名残」と言う声や、現代の子供たちには「蛍雪の功」ということが理解されないという・・・。勤労学生や苦学という言葉も、あまり聞かなくなったし、蛍の光を集めて本を読む、雪を重ねた光で勉強するという情景は想像できないのかもしれない。しかし、なぜか「蛍雪時代」という受験雑誌は今も存在している・・・。
 江戸期の教育は、いかにして人間としての完成度をあげるかがテーマであったが、現在の教育は、いかにして試験に通るかがテーマになっている。“向上心”や“勤勉”
は人間としての大きな徳目であり、それを幼少期に身に染みこませることは、大変有意義なことのように思うのだが・・・。
 いかがであろうか、二宮金次郎像を復活させては!
                                                           
                                                           ラーニング・システムズ株式会社
                                                             代表取締役社長 高原 要次

2018年12月3日 本社を移転します。

2018年11月19日 月曜日

2018年12月3日 本社を下記の通り移転いたします。

新住所    : 福岡県筑紫野市山口2960

新電話番号 : 092(403)1116

2018年11月 『アウトプット力向上の秘訣は“明確さ、簡潔さ、インパクト”②』

2018年11月1日 木曜日

 前回(2018年7月)の解決への手掛かりで、「ビジネスで成果を上げていくためには、アウトプット力が求められる」、その向上のポイントは3点、①「何を話すのか」ポイントを明確にする→②「どのように話すか」整理する→③「話に情報を流し込む」、という流れで組み立てるアウトプットのための思考法についてお伝えした。それは、伝える内容に“明確さ、簡潔さ、インパクト”が重要というものであったが、アウトプット力は、聞き手にとってわかりやすく伝えるための思考法と説明・説得のスキルとも言える。

 7月の「解決への手掛かり」としては、以下の3つの道具(プラン)に絞って紹介した。

  「時のプラン」   → 時間軸・時の流れに沿って

  「場所のプラン」  → 場所の相違で

  「三角形のプラン」 → 3つの視点・側面で

いずれも関連のある3つのキーワードで分割し話に流れを持たせ、聞き手の理解を助けるというものであるが、コミュニケーションには、単に伝える(説明する)ことに留まらず、聞き手を説得するという場面もある。自分自身にとって重要なコミュニケーションは、意外にも聞き手を説得していることが多いのではないだろうか。自分の意図したことを聞き手に伝え、理解してもらい、聞き手がこちらの意図した通りの行動をとる、そのコミュニケーションは、ほぼ聞き手を説得していることに近いものである。今回は、わかりやすく伝えるための3つの武器に加えて、さらに聞き手を上手に説得するための、新たな武器を3つ紹介したい。もちろん、聞き手を説得するためには、その手前で上手く伝える(説明する)スキルが必要であることは言うまでもない。

   ①「ズームレンズのプラン」 → 視野を変化させて  (例:中心・中間・外側)

   ②「振り子のプラン」    → 2つの極論を示して (例:一方では、片方では、自分としては)

   ③「利点のプラン」     → 相手にとっての利点 (例:より遠くへ、速く、高く)

 同じように3つの関連したキーワードをもとに、聞き手を説得する武器であるが、前回のプランとの違いは、自分自身が明確な意志(落としどころ)を持っている事である。何か細部のことに固執している意見や、極端に一般化した意見に反論する、といった場合に聞き手の視野を変化させて説得するスキルが「ズームレンズのプラン」である。「振り子のプラン」は、両方の意見を打ち消して自分の主張を通す“詭弁型”と両方の意見を活かすように「中」を取って説得する“外向型”の2つがある。また、提案等でアピールしたい場合は相手にとっての利点を示しながら説得する「利点のプラン」が効果的である。1つの意見でダラダラと話し、主張を通そうせず、色々な立場や見方を示す方が考え深さ、視野の広さが聞き手に伝わり説得力も増す。

 前回より2回に亘ってアウトプット力向上のため秘訣、3つの関連付けたキーワードで分割して伝えるスキルをご紹介した。ビジネスでは、特にグローバルにおいても必須の武器になる。

“明確さ、簡潔さ、インパクト”を意識して伝える。そのポイントは話の内容に“構造”を持たせること、マジックナンバー“3”の表現である。

                                                  (パフォーマンス・コンサルタント 菊池政司)

 

今月の視点 11月 「解決への手掛かり」を更新しました。

2018年11月1日 木曜日

こちらからご覧いただけます。 >>詳しくはこちら

2018年10月 「無理をしない」とは、何をすること・・・

2018年10月1日 月曜日

 先般、腰の手術で入院した。正確には「腰椎除圧変動術」手術で4番目、5番目の腰椎に、5cmのネジをそれぞれ2本ずつ打ち、ボルトで繋ぐ手術。1カ月の入院、その後また1カ月の自宅療養だったが、多くの方に見舞いにきてもらった。その数65人。ありがたい限りである。そして、ほぼ全ての方から頂いた言葉が“無理をするな”。ドクターが言う“無理をするな”は、「曲げない、反らない、捻じらない。重いものを持たない」という警告で、即行動に移せる。他方、見舞客からの“無理をするな”は、心配と優しさから発せられた心くばりの言葉で、まさに有難く、感謝に堪えない言葉であるが、行動には移せない・・・。

 では、「無理をしない」とは、何をすることなのだろうか?とベッドに横たわりながら考えた。それは3つ。

  ①  「着手を早くする」 早く手をつければ、ゆっくりと進めることができ、かつ十分に時間をかけて検討することもできるし修正もきく。着手が遅れると納期に追われ無理をすることになる。しかも、やっつけ仕事になり品質も劣る。そのためには、先のゴール(ビジョン)を早く決めなければならない。

  ②  「絞り込む」 多くのことを手掛けるのではなく絞り込む、重要なことを行う。特に、好きなこと、ワクワクすること、面白いことを行う。嫌なことはしない。嫌いな奴とは付き合わない。そのためには、何が重要、何が大事、何が好き、かを明確にし、公言する。

  ③  「お願する、一緒にやる」 一人で完結しようとせず、手助けが欲しいときは“助けて!”とお願いする。さらにヘルパーを主役にして、こちらがヘルプに回り、一緒にやる。そのためには、“夢”を共有する。

 “ちょっとだけ無理をして生きる”が、私の信条である(作家の城山三郎は“少しだけ無理をして生きる”)。もし今日が、昨日に1%上乗せしたものであるならば、単利計算でも1年間で365%アップする。0.1%上乗せしても36.5%アップであり、約4割も向上する。そして、ありたい姿に近づき、凜として生きる。

 しかし、齢60を越えた今、この“無理”も、程度、スピード、やり方を変えなければいけないようにも感じている・・・。

                                                         ラーニング・システムズ株式会社

                                                           代表取締役社長 高原 要次

 

今月の視点 10月 「LEARNING SHOT」を更新しました。

2018年10月1日 月曜日

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